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見えないだけで月だってきっと燃えてるんだって
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もう明けさうな窓開けて青葉、とは山頭火の句だったっけ

白みきった空をマンションの階段越しに眺めながらふとため息を吐く 
 
聞こえてくるスズメの嬌声を聞いて、鳥は気楽でいいな、などと当てずっぽうな呪詛 
 
鳥といえば、この前まで軒下を賑わせていたツバメたち、やつらはどこにいったのだろう 
 
やはり、幸福の王子みたいにエジプトで揺れる葦と戯れながら過ごしたりするのだろうか 
 
あのツバメ、最後に天使に召されたあのツバメの生き方、僕は好きだ 
 
身勝手な理由で仲間からはぐれたくせに

たまたま出会った不遇な環境の人々に感情移入なんかしちゃって
 
結局は凍え死ぬあの生き方は、愚者らしくて、良いと思う 
 
まあ、僕なら逃げるけど

 
さて、朝だ 
 
始発の動く音が聞こえる 
 
身勝手な理由で社会の刻む時から送れた僕は何周まわって、その自転に追いつけるのだろう 
 
 
ツバメの季節でもないし、まだ夜明けまでは1マイルくらいあるけど
 
たまには嘘をついてもいいでしょう?
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貴方が呼んでくれないのなら

こんな名前はいらない

と君は言った

貴方が触れてくれないのなら

こんな身体はいらない

と君は飛んだ

貴方が覚えてくれないなら

こんな存在はいらない

と君は消えた


なあ

この記憶は

誰のためだ?


僕が作った箱庭で

踊り続ける人形の

発条の音が聞こえるか

僕が奏でた旋律で

軋み始めた窓枠の

鼓動の音が聞こえるか

僕が壊した世界で

働き終えた心臓の

最期の音が聞こえるか


仄暗い部屋

返ってくる答え

「また明日ね、お人形さん」
朝と夜のためだけにパーカーを羽織って家を出るこの季節

ツツジの花は地面に落ちて、紫陽花はまだ色付いてないこの短い季節

通り雨が残した水溜まりに青い空が映るのを見るとどうしたってあの夏を思い出してしまって

“常緑樹だって、葉を落とすのよ”と笑った君の笑顔は既に朧気で

地面で踊る木漏れ日を目で追っているとセミの声すら聴こえてくるようで

なんだって僕はこうも永らえてるんだ、なんて自嘲も空の青に吸い込まれ

あの夏に縛られたまま、僕は新しい夏に飛び込むしかない

息が苦しくなって、顔を上げれば、またそこに涼しくて哀しい秋が待ってると信じて
がらんどうの廃材置き場で僕は 
 
ハチミツ色した夢を拾った 
 
あの日君が捨てた花束に 
 
とてもよく似た不透明な五弁花 
 
カチリ、歯車の回る音 
 
振り向いた僕に小鳥の嘲笑 
 
「モエナイゴミハモヤサナイゴミ」 
 
脳裡を舐めまわす灰色の炎 
 
セピア色に変色した僕の笑み 
 
永遠を棄てたのはきっと君が先 
 
だけど、ここに来たのは僕だけ 
 
砕けた水晶の山に腕を差す 
 
痛みの中に君の声を探すふり 
 
燃え落ちた夕日が廃墟を照らす 
 
小鳥が蜜色の夢を啄ばむ音 
 
「アセスルファムカリウムノアジ」 
 
涙の形をした空っぽの雫 
 
君の悲しみもきっと真っ白で 
 
夜が来て色彩がかすみ始める 
 
足元に咲いた花も鈍色に朽ち 
 
青かった小鳥の髑髏は笑う 
 
月に透かせば水晶もひどく歪つで 
 
きっと狂ってるのは僕の平衡感覚 
 
遠くで鐘の落ちる音 
 
そろそろここも崩れる時分 
 
ポケットに詰め込む夢の亡き骸 
 
小鳥は傾いた十字架の下に 
 
錆びた鉄筋の朽ちる軋みが聞こえる 
 
月影の作る扉にそっと手をかけ 
 
あん、どぅ、とぅろわ 
 
白い世界に延々と続く廃材の山 
 
さよなら僕のちっぽけな世界 
 
ばいばい、君と世界がくれた全てに
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物部野乃奈
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戯言遣い
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Twitterで収まらなかったこと書くだけです

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